第15回 腰と足を手に入れろ!~oculus riftフルトラッキング VIVEトラッカー使用編~
oculus勢だって体を自由に動かしたい!
VRchatをプレイしていると体全身を自在に動かすプレイヤーに遭遇したでしょう。
棒立ち、できてもしゃがむことしかできないプレイヤーを前に踊りを披露する人たちを見て「いいなぁ…」と思ったのは筆者だけではないはず。
しかし全身を動かすことができるのはHTC VIVEを購入したプレイヤーのみ、そんなのずるい!ということでVIVE以外のHMDでもフルトラッキングできるようにしてしまいましょう。
第15回はこんな流れで進めていきますよ
~STEP2.oculus と vive の設備を同居させよう~
~STEP0.そもそもフルトラッキングってなに?~
現在様々な種類のVR機器(HMD)が発売されています。
そのいずれも左右のコントローラーと頭部のゴーグル、合計3点の位置情報をトラッキングしてVR空間に反映させています。
そこに追加デバイスとして登場したVIVEトラッカーを追加することでトラッキングする位置情報を追加することができます。
この追加した位置情報をアバターの腰と両足にあてはめたものがフルトラッキングです。
この位置情報を追加するトラッカー、各VRメーカーが発売していればいいのですが残念ながら発売されているのはHTC VIVEを対象にしたトラッカーのみなのです。
そのため今回はHTC VIVE以外のHMDとトラッカーを同居させることを目的に解説していきます。
あくまでHTC VIVE準拠の挙動をなんとかすり合わせているだけなので純正VIVEよりもトラッキングが不安定になることだけは頭に入れておいてください。
~STEP1.必要なソフト、デバイスを準備しよう~
VIVE設備と他のVR機器(今回はoculus)を同居させるにはソフトとデバイス、両方の準備が必要です。
ソフト
1.OpenVR Input Emulator v1.3
ダウンロードはこちらから。インストール先を指定するだけでインストール設定は終わります。
exeファイルをダウンロードしましょう。
2.steamVR
VRchatをプレイしている時点で問題ないとは思いますが今回こちらの設定も変更するため記載しておきます。
デバイス
1.HMDとコントローラー
今回はoculus riftを使用しますが理屈は同じためwindowsMRなどでも応用できるはず。
2.VIVEトラッカー(計3台)
今回の要ともいえるデバイスです。トラッカーをペアリングするためにPCにUSBドングルを接続しなければならないためUSBポートを3つ使用します。
3.VIVEベースステーション(計2台)
トラッカーの位置情報をトラッキングするために必要です。対角線上に挟み込むように配置する必要があるため2台必要になります。
トラッカーやベースステーションは公式サイトから単品で購入できますがamazonでも公式輸入品が販売されています。
~STEP2.oculus と vive の設備を同居させよう~
まず最初にベースステーションとトラッカーのファームウェアを最新のものにアップデートしておきましょう。
microUSBでPCに有線で接続するとsteamVR上にアップデートを促す画面が表示されるので指示に従ってアップデートしましょう。
アップデートと同時にトラッカーのペアリングも行われるのでドングルの接続を忘れないように。
アップデートが終わったらベースステーションとトラッカーは一度外しておきます。
ここでsteamVR側の設定を変更します。 steamのインストール先から
steam\steamapps\common\SteamVR\resources\settings\default.vrsettings のファイルを見つけ出します。
steamVRの重要な設定ファイルなので開く前にコピーを取っておきましょう。
ダブルクリックでファイルを開こうとすると開く方法を選ぶ項目が出てくるのでメモ帳で開きます。
多くの設定が表示されますがその中の2つの設定を変更します。
“requireHmd”: false,
“activateMultipleDrivers”: true,
スペルミスがないように気を付けましょう。
変更が完了したらメニューから上書き保存します。
設定を変更したらsteamVRを再起動させましょう。oculusユーザーならいつもの見慣れた表示が出ると思います。
ゴーグル内の風景もセンサーとコントローラーのみ。
ではここでトラッカーの電源を起動させましょう。灰色の六角形が現れるはずです。
そして少し待つとトラッカーとベースステーションのマークが出てきます。
続けて残り2つのトラッカーも起動させましょう。
画像のようにトラッカー3つ、ベースステーション2つがoculus設備の後に表示されていれば成功です。
ゴーグル内からもトラッカーを視認できるようになりました。
上記のやり方だとトラッカーを認識した瞬間にsteamVRの仕様上ルームスケーリングがリセットされてしまうようです。
そんな時は設定を開きます。
HMDを床に置いた状態で開発者のクイックキャリブレーションをクリックしましょう。ルームスケールがリセットされます。
~STEP3.トラッカーの位置を合わせよう~
STEP2.で無事にVIVE設備を同居させました、しかしこの画像の違和感にお気づきでしょうか?
ヒントは「筆者はこの時両足と腰にトラッカーを装備している」です。
…そうですね、両足と腰にあるはずのトラッカーが目の前にあったらおかしいですよね。
STEP3.ではこのずれたトラッカーの位置を調整していきます。
まずsteamのメニュー画面を開きます。(oculusなら左コントローラーのメニューボタンです)
メニューの右から二番目のOPENVR INPUT EMULATORを起動します。
このコマンドが表示されない場合はSTEP1,のソフトインストールができていない可能性があるので再インストールを試してみてください。
OPENVR INPUT EMULATORを起動したらDeviceをクリックしましょう。
現在VR空間で認識されているデバイスが表示されます。
HMDとコントローラーのほかにトラッカーが3つ表示されていますが、これは電源を入れた順に表示されています。
筆者は腰→右足→左足の順で起動させていますがこれは個人で覚えやすい順番で大丈夫です。
まずは一番最初に起動した腰トラッカーの位置を調整しましょう。
Deviceから調整したいトラッカーを選択しDevice Offsetsをクリックします。
するとVR空間上でのトラッカーの位置情報が表示されます。
位置情報の数値を変更したいのでEnable Offsetsにチェックします。
これでトラッカー情報の数値を変更できるようになりました。
クリックしてもチェックが入らない、という場合はsteamそのものを再インストールしてみてください。
再インストールした場合はSTEP2.のファイル設定をやり直すことになるのでそちらも忘れずに。
Yawでトラッカーの角度、X,Y,Zでトラッカーの座標を調整することができます。
とりあえず試しに数値を入力してみました。
数値を入力する前
数値を入力した後
赤丸の腰トラッカーが移動しているのがわかるでしょうか?
この数値を調整して現実のトラッカーの位置に近づけていきます。
ちなみに調整した数値は保存することができます。
納得いく場所までトラッカーを移動できたらNew Profileをクリックします。
名前を付けて調整した数値を保存しましょう。
この時2つにチェックを入れるのを忘れないようにしましょう。
名前をつけたらOKをクリックして保存完了です。
保存した数値はProfileの空欄をクリックすると表示されます。
適用したい数値のデータを選択したらApplyをクリックすると現在のトラッカーに数値が適用されます。
同じような手順で右足、左足のトラッカーの位置を調整しましょう。
画像は足元を見ている状態。現実のトラッカー位置と大体あっていれば完了です。
あとはVRchatに飛び込みましょう!
腰が追従しますし足も上がる!没入感がぐんと跳ね上がりますね!
ただしこの方法、OPENVR INPUT EMULATORの仕様上時間経過で少しずつトラッカーが位置ずれしてきてしまうのです…
一時間に一度はトラッカーの位置を調整しましょう。
…え?HTC VIVEを購入した方が早い?それは言ってはいけないお話です。
こちらのサイトを見て、こんなめんどくさかったっけと数か月前に躓いたので個人的なメモを兼ねてのコメント。「OpenVR-SpaceCalibrator」を使って、Oculus側のコントローラーとトラッカーを8の字キャリブレーションした方がやりやすそうな気がした